フランス ストラスブール(Strasbourg)

街の中心である「ノートルダム=ド=ストラスブール大聖堂」の周辺がトランジットモールになっています。いわゆる旧市街のかなり広い範囲に及んでいて、モール内はデパートやショッピングセンターが立ち並ぶショッピングゾーンになっています。

報道によると、現地時間2018年12月11日(日本時間12日)、ストラスブールでテロ事件が発生し、死傷者が出たとのことです。この事件は解決しているようですが、最近、フランスやヨーロッパ全土で治安状況が悪化していると感じます。ヨーロッパを訪れる際は、ご注意ください。

ストラスブールのトランジットモール

ストラスブールとは

ストラスブールは、フランス北東部の都市です。フランスの首都であるパリからは鉄道で2時間あまり。EU(ヨーロッパ共同体)の主要な機関があり、ヨーロッパの首都と呼ばれることもあります。世界遺産にも登録され、観光地としても有名です。

街の中心部にある大聖堂は、ゴシック建築の代表作の1つとされています。

ストラスブール大聖堂

内部には、世界最大級の天文時計もあります。

天文時計

大変に美しい装飾で、もしストラスブールを訪れることがあれば、必ず見ていただきたい教会です。

ゆったりとショッピング

トランジットモール内は、歩行者と自転車、それにトラムだけの空間です。

路面電車は軌道から外れることがないため、自動車と異なり、いきなり現れるということはありません。歩行者は軌道を横切るときだけ注意していればよく、自動車を気にしながら歩く必要がありません。トランジットモールでは、みなさんゆっくり、ゆったりショッピングを楽しんでいました。

ゆったりとショッピング

歩道と線路の段差

トランジットモールには、広場のような広いスペースでトラムと歩行者が共存している場合もあれば、車道の代わりに軌道があり、両側に歩道があるという場合もあります。

歩道と線路の段差

この写真では、歩道と線路の間に段差があり、互いの領域がきっちりと分けられています。それに対して次の写真では、歩道と線路には段差がなく、両者が同じ平面を共有しています。

バリアフリー

この2枚の写真は、ストラスブールの同じトランジットモールのものです。なぜこのような違いがあるのかはわかりませんが、段差があればより安全、なければよりバリアフリーです。

路面電車の復権

ストラスブールでは、かつて走っていた路面電車が1962年に廃止されました。その後の展開は世界中どこでも同じようなもので、自動車の増加、大気汚染、中心市街地の空洞化などが起こりました。その解決策として、トラムとトランジットモールを整備し、現在ではトラムによる都市再生の代表的な成功例としてよく引き合いに出されるようになっています。

中心街をトランジットモールにして自動車を排除しようとすると、そこで商売をしている商店主たちが客足が遠のくことを心配して反対するという光景がお決まりになっています。この点は、ヨーロッパも日本も変わりませんし、昔も今も変わりません。
当時、ストラスブールでも商店主の反対はあったそうですが、結果的には大成功となっています。トランジットモールで中心街が衰退するというのは杞憂に過ぎず、むしろ活性化することが証明された一例でしょう。

『ストラスブールのまちづくり』

ストラスブールは都市再生の成功例として有名ですので、日本からも多くの視察者が訪れます。その視察者たちの通訳をしておられた方が著された『ストラスブールのまちづくり』(ヴァンソン藤井由美著 学芸出版社)という本があります。

この本では、ストラスブール中心部のトランジットモールを歩行者天国として次のように紹介しています。

さて、この付近の散策は本当に素敵だ。車が全く通らない。ストラスブール市の中心街では93本の道路が歩行者天国になっている。(19ページ)

銀座は日曜日が歩行者天国だが、こちらは毎日が歩行者天国。歩くことは習慣化するようだ。ストラスブール都心では1km以下の距離ならば67.2%の住民が歩くが、バ・ラン県全体では46.8%と少なくなり、しかも回答者の半分が車を何と1km以下の移動に利用している。また歩行者道路があっても、すぐ隣をトラックが走っていては、都市の楽しみであるぶらぶら歩きをする気にならない。そんな簡単なことにフランスの地方都市は、もう随分と前から気付いたようだ。ストラスブール市だけでなく、欧州の多くの都市では、都心への車の乗り入れを禁止して、街路は歩きやすい石畳舗装を進めてきた。(20ページ)

また、この方は日本からの視察者の通訳をしておられたので、視察者が「どういう疑問を持ち」「何を知りたいのか」ということをよくご存知です。たとえば、次のような記載があります。

ストラスブールを訪れる日本人は、トラムの線路上のスペースを歩行者や自転車が自由に横切っている風景を見て、必ず事故の状況を質問される。ストラスブール都市共同体では、2007年以降のトラムやバス利用者の死亡事故はない(ブログ注:出版年は2011年)。2002年から2009年までの合計数をみても、トラムに対する歩行者の事故が17件、トラム対自転車が3件、トラム対自動車が8件という少ない数字だ。(60ページ)

歩行者と自転車も自由に、ストラスブールのトラムの専用線路軌道の上を通行できる。しかし、歩行者が歩きにくい石をわざと線路に敷き詰めて、意識せずとも歩行者は歩行者用道路に向かうように意図されている。(60ページ)

この記事の上で紹介した「線路と歩道の段差」にもちゃんとした深い意味があるようです。ストラスブールに興味のある方は、一読をおすすめします。

(2012年3月訪問)

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・ブログの「路面電車:ストラスブール・トラムについて

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