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ドイツのフライブルク(Freiburg)では、中心市街地がトランジットモールになっています。
フライブルクは、ヨーロッパによくある城壁に囲まれた街で、城壁の内側がトランジットモールです。さすがに城壁がすべて残っているわけではありませんが、城壁があるところでは内と外の境界がわかりやすく、ここからモールになるという区別がつきやすい構造になっています。
地元の人はもちろん、観光客にとっても、城壁の内側の旧市街を車を気にせず散策することができます。
フライブルクとは
フライブルクは、ドイツ南西部の都市です。すぐ西はフランス、南はスイスという位置にあります。
市の人口は、20万人を少し超える程度です。
「環境首都」の異名があり、先進的な環境保護政策で知られています。トランジットモールも環境保護政策の柱のひとつです。車に頼らずに生活できるようにすることで、環境を守っていこうとしています。
街中には、下の画像のようにオゾンなどの大気汚染物質の数値をリアルタイムで表示する表示機もありました。
トランジットモールの様子
中心市街地のトランジットモール内は、歩行者と自転車、それにトラムと呼ばれる路面電車、路線バスだけが通行できる空間になっています。
フライブルクのトラムについては、ブログの「路面電車:フライブルク・トラムについて」で紹介していますので、そちらをご覧ください。
自動車は、荷物搬入用の車両なども含め、日中は通行禁止です。ただし、多くの商店がありますので、夜間についてはトラックなどは通行できます。
トランジットモールの目的は中心市街地の活性化にありますので、商店の活動をできるだけ邪魔しないようにするという配慮もなされています。
モール内は、多くの人でにぎわっています。
フライブルクも、世界中の都市と同じように、以前は車があふれ、中心市街地はさびれていたそうです。
しかし、中心市街地をトランジットモールにしたことによって人々が戻ってきました。
現在では、トランジットモールの成功例としてよく語られる都市のひとつです。
下の画像は、街の中心にある広場です。複数のトラム路線が交差しています。この写真に写っているだけで5台のトラムがあります。これだけのトラムがいても、歩行者が気楽に歩いている様子がわかると思います。
最近のトラムは、昔の路面電車と異なり、かなりスピードが出ます。フライブルクでも郊外では専用軌道を走り、そのときのスピードは通常の鉄道と変わりません。しかし、モール内では、もちろん最徐行です。なにかあってもすぐに止まれるスピードで走っています。自動車と違って、トラムは線路から外れることはありませんので、歩行者も線路にだけ気をつけていれば、危険はありません。
ヨーロッパの都市は、多くの場合、教会を中心に広がっています。街の中心に教会があり、当然、教会の周辺もモールになっています。
教会の周辺も歩きやすい広場になっています。上の画像は早朝に撮影したので人が少ないですが、日中はにぎわっています。
トランジットモール内の様子(動画)
トラムがトランジットモール内を走っている様子を、トラムの中から撮影しましたので、ご覧ください。音声はありません。動画が重かったら、申し訳ありません。
歩行者がほとんどトラムを気にすることなく、自由に歩いている様子がわかると思います。
下の動画は、外からトラムが走る様子を撮影したものです。
間違えて入ってくる車はいます
トラムが通り抜けられるスペースがありますので、自動車も入ろうと思えば入れます。進入禁止の標識はありますが、標識だけで制御できないのは、世界中どこでも同じです。
間違って入ったのだろうと思われる車を何度か見かけました。
確認したわけではありませんが、そういう車は挙動が不審になるのでわかります。モール内をしばらく走ると、運転手が他に車が走っていないことに気づいて車を止め、周りを見渡します。どうやらまずいらしいと気づいて、ゆっくりとしたスピードでモールから出ようとします。次の画像もそういう車がモールに入ってきたところを撮影したものです。
歩行者のほうも、そういう車の挙動はわかりますので、あまり気にする様子はありませんでした。
トランジットモールを示す標識は、各国それぞれに特徴があります。ヨーロッパの標識は「トランジットモールを示す標識(ヨーロッパ)」、日本の標識は「トランジットモールを示す標識(日本)」で紹介していますので、そちらをご覧ください。
また、フライブルクの中心市街地から南に少し行ったところにヴォーバン(Vauban)という住宅地があります。住宅地内に自動車をできるだけ入れないという考え方で作られた街です。商業地区ではないのでトランジットモールではありませんが、目指すところは同じです。ヴォーバンについては、「ドイツ・フライブルク・ヴォーバン住宅地」で紹介しています。
(2012年3月訪問)
[このサイト・ブログ内の関連記事]
・ブログの「路面電車:フライブルク・トラムについて」
・サイトの「ドイツ・フライブルク・ヴォーバン住宅地」