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アメリカのタコマ(Tacoma)で、トランジットモールを作りたいという意欲を感じましたので紹介します。
タコマとは
タコマは、アメリカ北西部のワシントン州の都市です。有名なシアトルのすぐ南にあります。
完全無料の路面電車「タコマリンク」が市内を走っています。タコマリンクについては、ブログの「路面電車:タコマ・リンクの乗り方」をご覧ください。
後ろに見える山は、現地の日系人の方が「タコマ富士」と呼んでいるレーニア山(4,392m)です。
タコマのトランジットモール
ウィキペディア日本語版の「トランジットモール」の「北米での導入事例」に、
アメリカ合衆国
・ワシントン州タコマ市(コマース通り・パシフィック通り)
ウィキペディア日本語版の「トランジットモール」 |
とあります(2019.3.3時点)。12都市掲載されている中の1つです。
事前に調べてみましたが、タコマにトランジットモールがあるという情報はこれ以外に見つけられませんでした。
英語版のウィキペディア「Transit mall」の「North America(北米)」の項目には、タコマは掲載されていません(2019.3.3時点)。
ウィキペディア英語版の「Transit mall」 |
ウィキペディア日本語版にあったこの1行だけを頼りに、タコマを訪れました。
コマース通り(COMMERCE ST)
ウィキペディアに載っていたパシフィック通り(PACIFIC AVE)は、片側2車線の幹線道路です。タコマの中心地を南北に通っています。
この通りがトランジットモールだとしたらかなりの規模ですが、ちょっと無理のようです。
コマース通り(COMMERCE ST)は、パシフィック通りの西側を平行して走る小さな通りで、路面電車もこちらを走っています。
この通りであれば、トランジットモールになります。
通りに面して路線バスの車庫もあり、中心部での路線バスの乗り換え場所です。路面電車や路線バスが次々と通り、交通の結節点になっています。
一般車両の通行は禁止されてはいませんが、道が狭いため、わざわざ入ってくる必要はありません。通過車両は隣のパシフィック通りを通ったほうがずっと楽です。
管理人が定義するトランジットモールではなく、ポートランドで呼ばれていたトランジットモールであれば定義を満たします。ポートランドでは、路線バスや路面電車を中心部に集めて乗り換えやすくしたところをトランジットモールと呼んでいます。
管理人の定義については「トランジットモールとは」、ポートランドの様子については「アメリカ ポートランド(Portland)」をご覧ください。
トランジットモールへの意欲を感じました!
コマース通りには商店もありました。しかし、残念ながら営業している様子が見られません。
かつてタコマは、アメリカでも比較的治安がよいとされる西海岸の中で、例外的に治安の悪い都市として知られていました。それを改善するために、中心街に無料の路面電車を走らせ、人を呼び戻そうとしています。
無料であれば、所得の低い人々も乗ることができます。路面電車の運行を全額公費でまかなってでも、中心街に人を呼び戻したいということでしょう。
それがまだ道半ばなのだろうと思います。管理人の推測ですが、中心街が活性化してきたら、コマース通りを歩行者と公共交通機関だけのトランジットモールにしたいという計画はあるのではないかと感じました。
コマース通りは、標識1つですぐにでも一般車両を締め出すことが可能な作りになっています。ただ、現時点でそれを実行する意味がないということだと思います。
商店がつぶれている状況を見ると、すでに失敗してしまったのかもしれませんが、全線無料の路面電車は健在です。まだ望みはあると思います。
訪問した曜日・時刻が悪かった?
管理人がタコマを訪れたのは8月の土曜日です。午前10時35分にアムトラックのタコマ駅に到着し、午後0時15分発のバスでバスターミナルを出発しました。2時間もいませんでした。日程の都合上、タコマに多くの時間を割く余裕がなかったためです。
土曜日の午前中という、1週間の中でおそらくもっとも人通りが少ないであろうタイミングでした。私が訪れたのがこのような時間帯だったことは、タコマに対する印象に影響を与えた可能性があります。
平日の朝夕であれば通勤客がいたでしょうし、夜はまた違った状況だったかもしれません。
おわりに
最後に利用したバスターミナルにトイレが2つありましたが、どちらも壊れていて使用不能でした。公衆トイレは治安の状況を計る目安のひとつになると思いますが、やはりまだ改善途上なのだと思います。
(2017年8月訪問)
[このサイト・ブログ内の関連記事]
- ブログの「路面電車:タコマ・リンクの乗り方」
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