2024年11月15日に、熊本県内の主な交通事業者がSuica、ICOCAなどの「全国相互利用サービス」対象の交通系ICカードの利用を取りやめました。利用を始めるというニュースはあっても、これだけ多くの交通機関で利用中止になったのは初めてで、大きな話題となりました。
私は、2025年5月に熊本を訪れ、その様子を見てきましたので報告します。
熊本の交通系ICカード
熊本で主に利用されている交通系ICカードは次の3種類です。
- くまモンのIC CARD
「熊本地域振興ICカード」というキャッチフレーズがあります。産交バスグループ、熊本電気鉄道(バス・電車)、熊本バス、熊本都市バスという熊本の主な交通事業者で利用できるカードです。熊本以外の地域では使えません。
- でんでんnimoca
「全国相互利用サービス」対象カードである「nimoca(ニモカ)」の熊本版です。主な利用対象は熊本市電ですが、JR線をはじめ全国で利用できます。
- SUGOCA(スゴカ)
JR九州の交通系ICカードです。主な利用対象はJR線ですが、「全国相互利用サービス」対象のため、熊本市電をはじめ全国で利用できます。
上記のように熊本の交通系ICカードは3つに分かれていますが、この中で「くまモンのIC CARD」陣営は、2016年に「全国相互利用サービス」対象カードの利用を開始しました。「くまモンのIC CARD」は熊本以外では利用できませんが、逆にSuica、ICOCAなどの「全国相互利用サービス」対象カードは利用できるようになりました。他の2陣営のカードは、「全国相互利用サービス」対象カードなので最初から使えます。
つまり、「全国相互利用サービス」対象カードを持っていれば、熊本の電車やバスはすべて乗れる状態が10年近く続きました。
ところが、2024年11月16日以降、JR、熊本市電以外の電車やバスでは「くまモンのIC CARD」以外は使用できなくなりました。
次の写真は、熊本市の中心部にある熊本桜町バスターミナルにある空港行きリムジンバスの乗り場の横にあった掲示です。
熊本電鉄の車内にある掲示は、次のとおりです。
いままで使えたものが使えなくなるといった状況は、たとえ何であれ、利用者にとっては不便です。知らないで利用しようとして使えなかったという経験をした方も多いでしょう。交通事業者はさまざまな方法で告知していますが、なかなか大変だと思います。
タッチ決済
「全国相互利用サービス」対象カードの利用を取りやめる代わりに、2025年2月24日からクレジットカード等のタッチ決済による支払いを開始しました。
「くまモンのIC CARD」陣営だけでなく、熊本市電の「でんでんnimoca」陣営もタッチ決済に対応しています。JR九州の「SUGOCA(スゴカ)」陣営はまだ対応していませんが、福岡などでは始まっていますのでいずれ使えるようになるでしょう。
熊本電鉄車内にある運賃箱は、1つの読み取り装置で「くまモンのIC CARD」と「タッチ決済」の両方に対応しています。
タッチ決済については、このブログの「タッチ決済で電車やバスに乗る」で説明しています。

現在の状況
現在の状況を表にすると次のとおりです。
交通機関 | 「全国相互利用サービス」対象カード | くまモンのIC CARD | タッチ決済 | |
くまモンのIC CARD | 産交バスグループ 熊本電気鉄道(バス・電車) 熊本バス 熊本都市バス |
× | 〇 | 〇 |
でんでんnimoca | 熊本市電 | 〇 | 〇 | 〇 |
SUGOCA(スゴカ) | JR線 | 〇 | × | × |
バスには、次のような掲示がありました。
熊本市電の掲示は、次のとおりです。
熊本市電はQRコード決済にも対応しています。
まとめ
熊本に住んでいるか、よく熊本に行く方であれば「くまモンのIC CARD」を持っていればそれほど不自由はないでしょう。JR上熊本駅の改札口に「JRでは くまモンのICカードは ご利用いただけません」と掲示されていましたが、JR線で使えないのは以前からで、今回使えなくなったわけではありません。ただし、JRとバスを乗り換えて利用していた場合は、1枚では済まなくなったので不便になったと思います。
それより不便なのは、県外からの観光客や出張のビジネスマンでしょう。阿蘇くまもと空港に着くと、熊本市をはじめ県内各地にはバスで移動することが多いはずです。これまではSuicaなどを持っていればバスに乗れましたが、それができなくなりました。
空港からバス乗り場に向かう出口には「熊本エリアのバス・電鉄電車・市電は タッチ決済でご乗車OK!」という大きな掲示がありました。
県外から熊本に行かれる方は、交通系ICカードより、タッチ決済のできるクレジットカードをお持ちになることをお勧めします。
交通系ICカードの「全国相互利用サービス」については、「交通系ICカード「全国相互利用サービス」で乗れる電車・バスをすべて紹介します」で説明しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。