富山:大手モールフェス(トランジットモール社会実験)は大盛況でした!

最終更新日 2019年3月24日

2017年10月に富山市の中心部で、トランジットモールの社会実験を兼ねたイベント「大手モールフェス」が開催されました。
大にぎわいで、大成功のイベントでした。
14日(土)に見てきましたので紹介します。

2回目の実験が2018年3月25日に開かれました。「富山:『越中大手市場~トランジットモール~』(社会実験)は大成功でした!」で紹介していますので、あわせてご覧ください。

2018年7月29日(日)に3回目、2019年3月25日(日)に4回目の社会実験が行われました。私は行きませんでしたが、成功裏に終わったとのことです。みなさま、お疲れ様でした。

大手モールフェス(トランジットモール社会実験)とは

大手モールフェスは、2017年10月14日(土)、15日(日)に、富山市中心部の「大手モール」で開かれたイベントです。
道路を歩行者天国にして、ライブ演奏や露店などさまざな催しが行われました。
現地で受け取ったパンフレットには、

大マーケット&音楽とアートとスポーツ。
歩行者天国の、文化まつり。

というキャッチフレーズが書かれています。

大手モールフェスパンフレット

これだけであれば、よくあるイベントのひとつにすぎません。

このイベントが特徴的なのは、開催場所の大手モールに路面電車が走っているということです。車の通行は止めますが、路面電車は止めません。

大手モールには、富山地鉄の環状線が通っています。反時計回りの単線で、富山駅と市の中心部を結ぶ1周3.7キロメートルを約26分で走ります。セントラムという名前の低床タイプの路面電車で運行されています。

セントラム車両

富山地鉄については、「路面電車:富山地鉄軌道線の乗り方」をご覧ください。

大手モールは、中央に環状線の路線が単線で敷かれ、その両側に1車線ずつ車道がある通りです。計3車線の道路です。通りの長さは、約300メートルあります。
下の画像は、実験開始前のものです。ふだんはこのように路面電車と自動車が並行して走っています。

大手モール・セントラムと自動車

大手モールフェスでは、大手モールが歩行者天国になり、その中を路面電車が走ります。これは「トランジットモール」です。

さきほどのパンフレットにも、

「トランジットモール」社会実験のため、
大手モールの車道が通行止めになリます。

と記載されていました。裏面の右下に小さくではありますが、「『トランジットモール』社会実験」とうたってあるのは画期的です。

パンフレットにトランジットモール

パンフレットではトランジットモールについても次のように説明しています。

「トランジットモール」とは?
車両の通行を規制し、歩行者と路面電車のみが通行できる歩行者空間において、まちのにぎわいを創出する取り組みです。

簡にして要を得た説明です。私が付け加えることはありません。
私が考える「トランジットモール」については、サイトの「トランジットモールとは」で説明しています。あわせてお読みください。

スケジュール

イベントのスケジュールは次のとおりです。

2017年
10月14日(土)15:00~21:00
10月15日(日)10:30~16:00

土曜日の午後と日曜日の日中です。

イベントのスケジュールとは別に、トランジットモールのスケジュールもあります。
トランジットモールは、準備と撤収の時間が必要なためイベントより長くなります。スケジュールは、次のとおりです。

2017年
10月14日(土)13:00~22:00
10月15日(日)9:00~17:00

イベントの開始前に2時間(土)と1時間半(日)、終了後に1時間の時間を取ってあります。

トランジットモールでは車の通行を規制しますので、大手モールの両端に看板を出し、通行止めになることを告知しています。

通行止めの告知

パンフレットにも、通行止めの記載があります。

開始前

私は現地に14日(土)の正午過ぎに到着しました。トランジットモール開始の約1時間前です。
その時点で、車道の両側にある歩道に、車道封鎖用の機材が大量に置かれていました。下の画像は機材のごく一部です。

機材の準備

その中で、特に私が目を引かれたのは、次の標識です。

歩行者用道路「軌道敷を除く」

見慣れた歩行者用道路の標識の下に真新しい「軌道敷を除く」という補助標識が付いています。線路上は歩けないという逆の意味ではありますが、この標識はトランジットモールを表しています。

金沢のトランジットモールには次の標識がありますが、対象は路線バスで、路面電車ではありません。

歩行者用道路「路線バスを除く」

私がイギリスのマンチェスター(Manchester)で見た標識は次のようなものでした。

マンチャスターのトランジットモール

これと同じ意味の標識を、日本でもやっと見ることができました。

トランジットモールを示す標識については、サイトの「トランジットモールを示す標識(日本)」「トランジットモールを示す標識(ヨーロッパ)」をご覧ください。

この標識を含め、機材はすべて歩道に置かれていました。トランジットモールの開始は午後1時です。その前に車の通行を妨げることはできません。

同時にイベントの準備も歩道で行われていましたので、かなり慌しい雰囲気でした。

ゴミ箱の用意

午後1時 道路封鎖

午後1時ちょうどに道路の封鎖が始まりました。係員が集まり、車の通行を止めて、封鎖用の機材を道路の入り口に並べていきます。

道路封鎖

風で飛んでは危ないので、機材はかなり重いようでした。

大手モールを横切る道路にも警備員が配置され、車の進入を止め始めました。

進入阻止

通常の歩行者天国のイベントであれば、封鎖はこれで終わりです。各進入口を機材でふさぎ、人を配置すれば、あとはイベントの終了までこの態勢を維持するだけです。

しかし、ここでは路面電車が通ります。さきほどの歩行者用道路の補助標識にあったように軌道敷(線路上)は立入禁止です。
道路の封鎖と同時に、係員の方々が線路の両側に進入禁止の看板を置き、ロープを張っていきました。

軌道敷の隔離

設置中も電車が通り、片時も油断できません。
イベントが行われる大手モール全体の線路の両脇に看板とロープがすばやく設置されました。

トランジットモールと富山城

看板とロープを設置すれば終わりではありません。およそ10メートルごと(私の目測です)に警備員や係員が立ち、歩行者が線路内に入らないよう目を配っています。この態勢は、トランジットモールが終了するまでずっと続きました。

下の画像は、トランジットモールを走る電車内から撮影したものです。

セントラムからの風景

臨時のイベントで歩行者が慣れていないからという理由や、社会実験で万一事故が起こってはいけないという理由でこれだけものものしくなったのだと思います。

これに対して、例えばドイツのフライブルク(Freiburg)のトランジットモールは、こんな感じです。

フライブルクのトランジットモール

線路は歩行者進入禁止ではありませんし、警備員もいません。人々は思い思いに勝手に歩いています。路面電車の前を横断しても気にしません。電車は最徐行で運転し、よく警笛を鳴らしています。
それでも事故はあると思いますが、良くも悪くも自己責任です。電車があれだけ注意して走っている以上、事故があれば歩行者も相応の責任を負うことになるでしょう。

しかし、日本のトランジットモールで事故が起これば、電車側の責任だけが大きくなると思います。それが、この看板とロープと警備員の多さにつながっています。
このような態勢は、臨時のイベントだから可能です。もし、トランジットモールを常設するとしたら、とても不可能でしょう。

私がイベント中にお話しする機会があった係員の方も、この態勢には検討の余地があるとお考えのようでした。

午後3時 イベント開始

午後3時にイベントが始まりました。トランジットモールの開始から2時間たっていましたので、イベントはスムーズに始まりました。3時の時点では、下の画像のような状態です。

イベント開始

開始時点から多くの方が訪れ、しかもどんどん増えていきました。

大賑わい

地元で有名な店も多数あるようで、すぐにあちこちで行列ができていました。
人が増えるのはうれしいことでしょうが、警備にあたっていた方々は大変だったろうと思います。
線路上を歩こうとする人が出るのは当然で、そのたびに静止する様子を何度も見かけました。

路面電車でイベントを訪れた人を対象とした抽選会も行われました。私も抽選に参加しましたが、賞品は末等のポケットティッシュでした。

ガラポン抽選券

日が暮れてからもイベントは続き、午後9時の終了まで多くの人でにぎわっていました。

下の画像は、子供たちによる合唱の様子を写したものです。ぼかしてありますが、多くの子供たちが、きらきら星をいろいろな言葉で歌っていました。とても楽しそうでした。

子供たちによる合唱

車が通らないので、子供連れでも安心です。子供を対象としたイベントも数多く開かれ、家族連れが特に多かったように思います。

暗くなると、さらに警備は大変です。線路を歩く人がいないように、常に注意が払われていました。

夜間のトランジットモール

すべての区間ではありませんが、露店のテントを線路の両脇に配置し、歩行者が自然に線路に近づきにくくなるような配慮がなされていました。

午後9時 イベント終了

午後9時にイベントが終了しました。露店は撤収を始めましたが、まだ飲み続けていたり、話続けている客も多く、そう簡単には片付きません。
それでもトランジットモールの終了が午後10時ですので、1時間で車道を空けなければなりません。露店の撤収はどんどん進みました。

イベント終了

午後10時 封鎖解除

イベントの撤収は午後9時から始まりましたが、トランジットモールは午後10時までです。各出入り口の封鎖の撤去にはそれほど時間はかからないでしょうが、線路の両脇の看板とロープは相当な量です。

午後9時(21時)台最終の電車は、48分に大手モール内の停留所を出発します。
最終電車は午後10時15分発ですが、この時点ではトランジットモールは終わり、いつもの状態に戻っています。最終電車は関係ありません。問題は48分発の電車です。

停留所時刻表

来訪者はまだまだ残っていますし、露店の方々もいます。48分発の電車が通り抜けるまで線路の両脇にある進入防止用の機材の撤収はできません。
警備員、係員の方々が総出で各所に待機し、この電車を待ちます。電車が定刻にやってきたときは、みなさんほっとしたのではないかと思います。

最後の通過車両

電車が通り抜けるまでは警備の態勢です。

電車が通り抜けると、撤収が始まりました。イベントは翌日もありますので、ロープをはずして、トランジットモールの開始前と同じように歩道まで戻します。

イベント終了

10分以上時間をかけられません。あっというまに線路脇はふだんの状態に戻りました。

最後は、午後10時ちょうどの封鎖の解除です。
直前から機材の移動を始め、午後10時ちょうどに解除が完了しました。

封鎖の解除

遅い時間なので、多くはありませんが車が通り始めました。

再び自動車

この日のイベントとトランジットモールはこれで終了しました。

おわりに

関係者の方々のご苦労がひしひしと伝わってくるイベントでした。
日本でトランジットモールを作ろうとすれば、さまざまな障害があることが目で見て実感できました。

大にぎわいでしたが天候がよかったことも幸いしました。直前まで雨の予報でしたが、前日に予報が訂正され、当日は晴れ間ものぞいていました。
暑くもなく、寒くもないという屋外のイベントには絶好の日和で、私が訪れた14日(土)は大成功でした。15日(日)もそうであったことを願っています。

来訪者の方々もみな満足そうな様子でした。
関係者の方々はほんとうにご苦労さまでした。
私はなるべく邪魔にならないように拝見させていただいたつもりですが、最初から最後までうろうろしていましたので、目障りだったかもしれません。申し訳ありません。

係員の方(おそらく市の方だと思います)とも少しだけお話させていただきました。
パンフレットに「トランジットモール」と書いてありますが、これで一般の方に通じますか、という質問には、やはり無理です、というご回答をいただきました。
富山からトランジットモールを発展させていただければ、「トランジットモール評論家」を名乗る者として幸いです。
これからも富山市と関係者の方々のご活躍に期待しています。

大手モールフェス(上から)

【追記(2018.2.25)】

社会実験を実施した富山市の市長さんも議会で、

イベントにあわせて実施しました「トランジットモール」の社会実験におきましては、車両の通行を制限し、歩行者と路面電車のみが通行できる道路空間を創出したことにより、多くの方が新しい形のまち歩きを楽しんでいただけたものと考えております。
今後は、今回の実験結果を踏まえ、地域の住民や商店街など、さまざまな関係者と協議し、合意形成を図りながら、社会実験を続けていくことができればよいと考えております。

と述べられたとのことです(出典:富山市議会会議録 平成29年12月定例会(第1日目))。
次回の社会実験には、また伺わせていただきたいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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