江ノ電で沿線住民を優先する社会実験が行われました

ゴールデンウィークの江ノ電鎌倉駅前 3-9.よもやま話
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最終更新日 2019年5月7日

2018年のゴールデンウィークの真っ最中である5月3日と4日に、江ノ電の鎌倉駅で「江ノ電沿線住民等の移動円滑化に係る社会実験」が実施されました。実施主体は、鎌倉市です。
見てきましたので、紹介します。
2019年5月3日~5日にも、同様の社会実験が行われました。

鎌倉、江ノ島を走る江ノ電は、観光客にも沿線に住んでいる人(沿線住民)にも愛されている路面電車です。観光客にも沿線住民にも愛されているのはすばらしいことですが、ときに困ったことも起こります。あまりにも観光客が多いと、沿線住民も電車に乗れなくなってしまうのです。

江ノ電は常に混んでいますが、それでもよほどのことがない限り、来た電車に乗れないということはありません。しかし、行楽シーズンはその限りではありません。
たとえば、2018年5月4日の江ノ電の鎌倉駅前の様子です。

ゴールデンウィークの江ノ電鎌倉駅前

ゴールデンウィークの真っ最中です。天気が良いのも画像からわかると思います。
江ノ電に乗る人と降りる人でごったがえしています。九分九厘観光客でしょう。係員が乗る人の行列を作って誘導しています。

江ノ電乗車列最後尾

「電車に乗るのに並ぶとは思わなかった」と言っている人がいましたが、リサーチ不足です。ゴールデンウィークに鎌倉に来たらこうなります。それでも、車で来なかっただけ「あなたは偉い」と私は思います。

行楽シーズンではないときの様子は、こんなものです。

ふだんの江ノ電鎌倉駅前

九分九厘観光客だろうと書きましたが、1厘かもしれませんが沿線住民もいます。行楽シーズンに観光客が行列で時間をとられるのは仕方がないでしょう。何とかしてもらいたいとは思いますが、ピークにあわせて設備を作るわけにはいきません。観光客の方々はみな素直に行列に並んでいました。

しかし、沿線住民の方にとっては仕方がないではすまないでしょう。江ノ電は日常の足です。沿線住民は行楽シーズンには出かけないようにあらかじめ予定を組んでいるようですが、そうはいかないケースもあるでしょう。突然、買い物に行かなければならなくなったのに店まで江ノ電を利用しなければならないとしたら、駅で観光客といっしょに行列に並ばなければなりません。それでは生活に支障を来たします。
それで、今回の実験です。混雑していても、沿線住民は優先的に江ノ電に乗れるようにしたらどうなるのか、ということを検証しています。

「鎌倉の経済は観光で成り立っているのだから、沿線住民は観光客を優先しろ」という考え方はあると思います。しかし、私はそうは思いません。
生活は生活、観光は観光として切り離さなければ、沿線住民はたまったものではありません。

実験当日の様子

今回の実験は3日と4日の2日間行われました。私は4日に見てきました。実験は午前10時から午後4時までです。9時前に鎌倉駅に着きましたが、その時点ではまだ観光客は少なく駅前は平穏でした。

9時半ごろ、市の方だと思いますが、改札の両脇に「江ノ電沿線住民等 社会実験 鎌倉市」という看板を設置しました。「社会実験」の文字の下が白紙で隠されています。

「江ノ電沿線住民等 社会実験」看板を設置

まだ、平穏です。
10時に白紙がはがされました。出てきた文字は「実施中」でした。

江ノ電沿線住民等 社会実験 実施中

しかし、まだ平穏です。

今回の実験では、沿線住民が優先されるのは改札口に行列ができたときです。この時点では、きっぷの券売機にはすでに行列ができていましたが、改札口はスムーズでした。江ノ電では、Suica、PASMOなどの交通系ICカードが使えます。券売機に並んでいるのは、1日乗車券を買う観光客が主です。沿線住民は1日乗車券は買わないでしょうから、交通系ICカードで並ばずに改札を抜けています。

そのままの状態で1時間経過しました。まだ、行列はありません。
その後、11時ちょうどにJRと江ノ電の間の連絡改札が閉鎖されました。江ノ電の鎌倉駅の改札口は2か所あります。JRの構内から直接乗り換えられる連絡改札と、外から出入りできる改札です。連絡改札が閉鎖され、改札口は外から入る1か所になりました。

連絡改札閉鎖

JRから乗り換える客と、外から入ってくる客が不公平にならないためでしょう。このあとすぐ、改札に行列ができました。長年の経験で、どの時点で何をしたら良いか、江ノ電は把握しているのだと思います。

いちど行列ができると、あっという間に長くなります。長いときには、駅前のロータリーを半周して100メートル以上になっていました。
待ち時間の掲示も出されました。

待ち時間約20分

さて、社会実験です。行列ができましたので、沿線住民は優先的に改札内に入れます。

確かにいらっしゃいました。証明書(あとで説明します)を見せて行列を飛ばし、構内に入っていった方を数名見ました。私はただのトランジットモール評論家で何の権限もありませんので、あまり改札の付近をうろうろするわけにもいかず、人数を数えることはできませんでしたが、それでも多くはなかったと思います。改札内では、沿線住民の方に簡単なアンケートを取っていました。それができるほどの人数だったのでしょう。

それでも、沿線住民の方が、あの行列に並ばずに乗れたことは良かったことだと思います。

改札付近はものすごい混雑だったので、沿線住民が優先されたことに気付いた人はおそらくほとんどいなかっただろうと思います。もし気付いたとしても、観光客は納得しただろうとは思います。

実験の手順

鎌倉市のサイトでは、今回の社会実験について次のように説明しています(2019年4月時点で削除済み)。

江ノ島電鉄を利用する沿線住民等は、ゴールデンウィークの混雑時になると、江ノ電に乗車しづらくなり、日常生活に影響が生じています。この状況を改善し、かつ沿線住民等と観光客が共存する方法として、沿線住民等が江ノ電鎌倉駅構外に並ばずに駅構内に入場できる社会実験を市が行うものです。

出典:鎌倉市/江ノ電沿線住民等の移動円滑化に係る社会実験について

沿線住民は、あらかじめ市役所などで「江ノ電沿線住民等証明書」の発行を受け、当日、改札で証明書を見せます。「社会実験当日は『江ノ電沿線住民等証明書』の発行は致しませんので、必ず発行期間中に申請手続きを行って下さい。」とのことです。「江ノ電沿線住民等証明書」は、定期券程度の大きさの用紙でした。

トランジットモールにはなりませんか?

この実験は2017年5月6日にも行われましたが、このときは天気が悪かったため観光客が少なく、実際に優先乗車が実施されることはありませんでした。したがって、事実上、今回がはじめてです。検証結果がどうなるかについては、いずれ鎌倉市が公表すると思います。楽しみにしています。

鎌倉は平地が少なく、常に観光客の車で渋滞が発生しています。私が訪れた5月4日もこんな感じです。鎌倉名所のひとつ、鶴岡八幡宮の前です。

鶴岡八幡宮前

ちなみに、この日の鶴岡八幡宮はこんな感じでした。

鶴岡八幡宮

鎌倉市では、かなり以前から観光客の車を市内に入れないための方策を検討しているという報道をよく見ますが、はかばかしい成果はありません。渋滞で自家用車が使えない沿線住民に、せめて江ノ電を優先乗車させたいということが本音だとしたら本末転倒です。

江ノ電の改札口のある鎌倉駅西口にも、なぜか自家用車は出入り自由でした。

鎌倉駅西口

人がいっぱいでスピードは出せませんので危なくはありませんでしたが、自家用車が無制限に駅前に入れる理由は理解できません。

鎌倉市内をトランジットモールにするのは、無理な提案でしょうか。江ノ電と路線バス、観光バス以外はすべてシャットアウトし、自家用車の観光客はパークアンドライドで市内に入る、トランジットモール内の住民の自家用車は最徐行で通行、ではどうでしょうか。鎌倉の魅力が増す、と思うのは私だけでしょうか。住民にも観光客にも最善策だと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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