最終更新日:2025年11月14日
宇都宮市と芳賀町を走る路面電車に「宇都宮ライトレール」があります。2023年8月26日に運行を開始した新しい路線です。
運賃の支払方法や、どこの扉から乗るかなど、宇都宮ライトレールの乗り方について説明します。
宇都宮ライトレールとは

宇都宮市にあるJR宇都宮駅と、宇都宮市東部から芳賀町にある工業団地群を結ぶ1系統14.6キロメートルの路線です。「ライトライン」という愛称があります。
日本で最初の新設されたLRT(えるあーるてぃ・ライトレールトランジット・Light Rail Transit・次世代型路面電車システム)です。
私は開業前に2回(2017年4月・2022年9月)宇都宮を訪れ、進捗状況を確認してきました。そのときの記事「芳賀・宇都宮LRT建設計画」もありますので併せてお読みください。

運賃の支払方法
運賃は、交通系ICカードまたは現金で支払います。クレジットカードのタッチ決済には対応していません。
運賃は距離制で、大人150~400円、小人80~200円です(2025.11.14時点)。交通系ICカード、現金のどちらで支払っても同額です。
交通系ICカードには、宇都宮地域限定の「totra(トトラ)」があります。交通系ICカードの「全国相互利用サービス」に対応していますので、SuicaやPasmoなども使用可能です。



LRTの特長の1つは、低床車だということです。車両の床は地上から30センチメートルという低い位置で、車椅子やベビーカーでも楽に乗り降りできます。
交通系ICカードでの乗り方
交通系ICカードでの乗り方は、先進的です。車両の出入口は左右それぞれ4か所あり、どこの扉からでも乗り降りできます。
乗るときは、扉の横にある緑色のICカードリーダーにタッチします。降りるときは黄色のICカードリーダーです。緑色が下、黄色が上に配置されています。扉の左右両側にありますので、どちらをタッチしても大丈夫です。

どこの扉からでも出入りできるシステムは画期的です。国内の路面電車では、降りるときには運転手か車掌のいる扉からになります(いくつか例外はあります)。そのため、降車時に行列ができてしまい、時間がかかります。新しいシステムのおかげで運行時間が短縮できています。いわゆる信用乗車とは異なりますが、疑似的な信用乗車システムと言えます。
信用乗車については、「信用乗車方式」をご覧ください。

現金での乗り方
現金で乗る場合は、乗る前に停留場にある整理券発行機で整理券を取ります。

バスとは異なり、車内にはありませんのでご注意ください。
降りるときに先頭まで行き、運賃箱に整理券と運賃を入れます。

運賃は、運転席後ろのモニターに表示されています。両替は、運賃箱で行います。路線バスのシステムと同じですので、迷うことはないでしょう。
ライトライン一日乗車券
「ライトライン一日乗車券」があり、大人1,000円、小人500円です(2025.11.14時点)。「餃子お食事券付き一日乗車券」などユニークなものもあります。
発売場所は、「宇都宮駅東口定期券うりば」などです。「当日を含め、ご利用になる日の3日前からお買い求めいただけます。」とのことです。購入するときに使用する日を伝えると、その日付のスタンプを押してくれます。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
| 乗車券のご案内|宇都宮ライトレール |
ユニークなのは、一日乗車券の種類だけでなく、乗り方もです。下の画像を見ていただければお分かりのように券にひもが付いています。これを首から下げて、そのまま乗り降りしてください、という方式です。

運転手に見せる必要はありません。これも一種の信用乗車でしょう。
「平石」停留場
「宇都宮駅東口」停留場から6番目にある「平石」停留場は、ホーム2つと線路が4本、いわゆる2面4線という構造になっています。通常の鉄道ではよく見ますが、路面電車の途中駅でこの構造はかなりめずらしいものです。
宇都宮ライトレールには快速があり、この「平石」停留場で各停と乗り継ぐと運賃が通しで計算されます。各停から快速の場合も同様です。とはいえ、現時点では快速はほとんど走っていませんので、将来への備えというところでしょうか。

トランジットセンター
宇都宮ライトレールには停留場が19か所ありますが、そのうち、次の5つの停留場に「トランジットセンター(乗り換え施設)」が設置されています。
- 宇都宮駅東口
- 宇都宮大学陽東キャンパス
- 平石
- 清原地区市民センター前
- 芳賀町工業団地管理センター前

「トランジットセンター」については、「ライトライン 公式ポータルサイト」に掲載されている「トランジットセンターを利用してライトラインに乗ろうよ!」によると、
トランジットセンターとは、LRTやバス、タクシー、地域内交通(宇都宮市内)、デマンド交通(芳賀町内)、車、自転車などさまざまな交通手段が連携する、交通結節点(乗り継ぎ拠点)のことです。
とのことで、「パークアンドライド」や「バスアンドライド」ができるように、駐車場・駐輪場やバス停などと一体となった停留所のことです。
宇都宮ライトレールができる前は市内まで自家用車で出かけていた場合も、トランジットセンターの駐車場に車を置いて市内まで出かけられるようになっています。これにより、市内の渋滞を緩和することが目的です。


車内の様子
事前の想像通り、車内は混雑していました(私の感想です)。朝のラッシュ時はもちろん、日中の時間帯でもかなりの人が乗っていました。
中心部では混んでいても、終点近くでは誰もいないという路線もめずらしくありませんが、宇都宮ライトレールでは終点の「芳賀・高根沢工業団地」停留場までそれなりに乗客がいました。


上側の画像は車内の様子、下側の画像は「宇都宮駅東口」停留場の平日朝ラッシュ時の様子です。ほとんどぼかしを入れてありますが、雰囲気は伝わるでしょうか。
『おさんぽブック』
『芳賀・宇都宮おでかけガイド LIGHTLINE OSANPO BOOK』という無料の冊子があります。

沿線地域にある飲食店や公園などのスポットが、地図や写真付きで紹介されています。
「宇都宮ライトレール定期券うりば」など、市内各所に置いてありますので、見つけたら入手することをおすすめします。
「ライトライン 公式ポータルサイト」には、PDF版が掲載されています。
今後の予定
宇都宮ライトレールは、宇都宮駅の東側にありますが、将来的に西側に延伸する計画があります。宇都宮の市街地は宇都宮駅の西側にあり、そこに路線ができればさらに便利になります。
すでに検討も進められていますが、JRの線路をどのように乗り越えるかなど、いろいろな問題があるようです。西側に伸びれば「トランジットモール」(トランジットセンターではなく)の可能性も出てくると思いますので期待しています。


おわりに
「宇都宮は車社会だから電車を通しても誰も乗らない」といわれながら、よくぞここまで来たという感想です。交通系ICカードを使ってどこの扉からでも乗り降りできるなど、ゼロから構想しただけに使いやすい工夫がいろいろとありました。機会を見つけてまた乗りに行きたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(2025年11月訪問)
