最終更新日 2022年9月2日
長崎市を走る路面電車に「長崎電気軌道(長崎市電)」があります。九州で唯一、民間企業が運営する民営の路面電車です。
2018年2月13日には、モバイルの「24時間乗車券」が発売されました。国内では、1日乗車券の24時間タイプ(利用開始時または購入時から24時間有効)はまだめずらしいので、うまく利用してください。
運賃の支払方法や、どこの扉から乗るかなど、長崎電気軌道の乗り方について説明します。
長崎電気軌道のサイトでは、「1号系統~5号系統」の5系統になっています。重複している路線も多く、実質的には1.5系統ほどです。長崎市は海に面していますが、山が市街地に迫っていて平地が少なく、その狭い平地部分に路面電車が通っています。
旅行者が利用する場合は、JRの駅がある「長崎駅前」停留所のほぼ一択になるでしょう。長崎空港からのリムジンバスが発着するバスターミナルも長崎駅前にあります。
下の画像は、「長崎駅前」停留所の遠景です。JRの長崎駅と歩道橋でつながっています。かなり古い写真で申し訳ありません。現在では、西九州新幹線の開業に伴い、駅は大きくリニューアルしています。
停留所は、一般的な路面電車のものです。
JRの長崎駅に路面電車を乗り入れて駅前をトランジットモールにするという話もありますが、なかなか簡単にはいかないようです。トランジットモールについては、サイトの「トランジットモールとは」をご覧ください。
運賃の支払方法
運賃は全線均一で、大人140円、小人70円です(2022.9.1時点)。
2019年4月1日に続き、2021年10月1日にも値上げされましたのでご注意ください。
後乗り、後払いです。車両の後方(または中程)の入り口から乗り込みます。乗るときには運賃は払いません。降りるときは、車両の前方に移動し、運転席のすぐ後ろにある料金箱に所定の金額を入れて、前扉から外に出ます。一日乗車券を持っている場合は、そのときに運転手に見せます。
現金だけでなく交通系のICカードも使えます。以前は、「長崎スマートカード」という長崎地域のものだけでしたが、2020年3月22日(日)から、全国で利用できる交通系ICカードである「nagasaki nimoca(ナガサキニモカ)」が導入され、Suicaなども使えるようになりました。
※2020年3月22日(日)始発から、Suicaなど「全国相互利用サービス」対象の交通系ICカードが利用できるようになっています。
運賃のご案内|長崎電気軌道株式会社(公式ホームページ) |
全国で利用できる交通系ICカードについては、このブログの「交通系ICカードで乗れる路面電車一覧」をご覧ください。
路面電車に限らず、日本全国のどの交通機関で、どのカードが利用できるかについては、「交通系ICカード、自分のカードでどの電車・バスに乗れるのか一覧表で説明します」「交通系ICカード「全国相互利用サービス」で乗れる電車・バスをすべて紹介します」で説明しています。あわせてお読みください。
一日乗車券
「電車一日乗車券」は、大人600円、小人300円です(2022.9.1時点)。5回乗れば元が取れる計算になります。
発売場所は、主要な停留所、沿線のホテルのフロント、長崎電気軌道の営業所です。「長崎駅前」停留所で売っていますので、ここが便利です。ホテルのフロントで扱っているケースは珍しいですが、泊まっているホテルで確認してみると簡単に買えるかもしれません。ただし、ホテルでは常に在庫があるとは限らないようです。なお、電車内では販売していませんので、注意してください。
上の画像は私が乗ったときに買ったきっぷです。少し古いですが、デザインは変わっていないようです。
電車一日乗車券|長崎電気軌道株式会社(公式ホームページ) |
モバイル「24時間乗車券」
紙の電車一日乗車券とは別に、スマートフォンを利用する「モバイル一日乗車券」もあります。人によっては、こちらのほうが便利でしょう。金額は、紙の一日乗車券と同じです。
しかし、これだけではなくモバイル乗車券では「24時間乗車券」が用意されています。「一日乗車券」と「24時間乗車券」のどちらでも選択できます。
一日乗車券では、どうしても半日程度しか使えないケースが出てきますが、24時間乗車券であればフルに使えます。
例えば、午前10時から使い始めて、その日1日十分に利用した上で、翌日9時に宿泊先をチェックアウトして駅まで乗るという場合にも利用できます。
また、昼過ぎに長崎に到着してその日の午後と、翌日の午前中いっぱい使ったとしても、24時間券であれば1枚で済みます。
金額は、大人700円、小人350円です。一日乗車券より100円(小人は50円)高くなりますが、うまく使えばお得です。
モバイルなので、有効期間は購入後24時間です。紙であれば最初の乗車時から24時間というケースが多い(東京メトロはこのタイプ)ので、購入するタイミングに注意してください。
24時間券は海外ではよく見かけますが、国内では東京メトロにある程度でメジャーではありません。これを機会に、各地で販売されるようになると便利になります。
モバイル乗車券|長崎電気軌道株式会社(公式ホームページ) |
ICチョイ乗り割引(2区間内100円)
2022年(令和4年)9月1日から「ICチョイ乗り割引(2区間内100円)」がスタートしました。nimocaなどの「全国相互利用サービス」対象の交通系ICカードを利用する場合に限り、2区間以内の利用であれば、大人100円、小児50円になりました。公式サイトで次のように説明しています。
ICチョイ乗り割引(2区間内100円)
令和4年9月1日よりnimocaを含む10種類の交通系ICカード利用に限り2区間内乗車時の運賃を大人100円、小児50円とします。
このサービスによりもっと手軽に路面電車をご利用いただき、自動車等をお持ちでない高齢者や学生等の交通弱者の近距離での移動支援を目的として実施します。
当該サービスの実施により、公共交通の利用促進や地域の活性化に寄与することを併せて目指します。
【重要なお知らせ】ICチョイ乗り割引・4号系統減便・IC乗換え電停追加|長崎電気軌道株式会社(公式ホームページ) |
いまどきめずらしい値下げです。少しでも利用者が増えるといいと思います。
おわりに
平和公園、グラバー亭、中華街など市内の主な観光地は路面電車で訪れることができます。市街地は意外と細長く、歩いて回るには距離があります。バスでも回れますが、慣れない土地では線路があるほうがわかりやすく、便利です。
下の画像は、長崎で入手した「長崎観光タウンマップ」です。
このサイズではよく見えないので申し訳ありませんが、右上の凡例には「路面電車ルート」と「長崎龍馬の道」の2つのルートだけが紹介されています。
「長崎龍馬の道」は、太いピンクの線で示されています。マップの右上辺りにあります。明治維新の立役者「坂本龍馬」の史跡をめぐるルートです。
「路面電車ルート」は細い実線で示されています。こちらは長崎をめぐるための乗り物のルートです。マップの中の観光地を網羅しています。長崎観光は、バスではなく路面電車で、ということでしょう。
運賃が安いということは、気軽に乗りやすいということです。そのために、保守管理の余裕がなくなっては本末転倒ですが、がんばっていただきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(2012年1月訪問)